12月振り返り日記(2)岡崎芸術座 in 「日常茶飯事」


かなり時間差ありますが、書きたかった記事をアップしております。
徐々に。

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【12月9日】演劇篇


夜勤明けに、職場からそのまま上京!
あんまり定時でそそくさと帰るので、
しかも私服がミニスカート+ブーツだったので、
同僚から「なぁに?デート?(にんまり)」とツッコミ。
でも、違うのよん。
この後、演劇見て、パーティに行くのだ。

まずは、品川:戸越銀座へ!
エッグファームズへ、予約しておいたシフォンケーキの詰め合わせを受け取りに。
この日のために、20個入りを注文しておいたのだ。
キミさんへのご挨拶がてら、これから行く会場が千駄木にあることを話すと、
「ああ。漱石ゆかりの場所だね。あの辺に住んでたことがあるんだよ。」
と、教えて頂いた。
夏目房之介さんファンの私にとっては、漱石は「文豪」というよりも、「夏目さんのお祖父さん」という、何となく親近感があるので、
初めて行く千駄木に、ちょっと親しみが湧いてみたり。


さて。地下鉄で千駄木に。
出口を抜けると、あいにく冷たい雨が降っていた。
傘を持ってないので、建物の軒下をかすめ飛ぶツバメのように、
雨をしのぎながら、駆け足で会場を目指す。
途中、「漱石ゆかりの地」らしい石碑を見つけて、キミさんの話を思い出し、何だかしみじみしたり。


会場は、住宅地の中にひっそりとあった。
寒さに震えながら駆け込むと、桟敷席最前列に陣取る。
実は私、舞台見るときは、
最前列中央やや上手(かみて)寄りが、一番好きな席なんです。
無事定位置を確保して、じっくりと鑑賞。


今回の作品は、佐々木透:作「日常茶飯事」。
先月の藤枝での舞台も記憶に新しい、
あきやまかおるさんが出演するというので、いそいそと見に行く。
しかもこの脚本は、今年の5月に藤枝で仲田恭子演出で初演され、今回、岡崎藝術座:神里雄大氏演出で再演されるにあたり、
大幅に書き換えたという。
・・・確かに、再演とは言っても、そのストーリーは、
ほとんど新作に近いほどに、全く別物になっていた。

冒頭、ステージの片隅で布に包まっていたモノが、モゾモゾと立ち上がる。
中から、主人公らしい青年が現れる。
機械的な歩行を繰り返しつつ、機械的に日常のセリフを繰り返す。
やがて、次々と3人の人物が、これまた機械的に独語を繰り返しながら、
宇宙人みたいなぬいぐるみを背負って現れる。
・・・何だか背中の宇宙人に、操られているかのように見えた。


そのうち、当初は断片的だったセリフが、
その周辺の状況説明がどんどん継ぎ足され、
何となく状況が伝わってくるようになる。
・・・彼らはどうも、同じ職場の同僚らしい。
で、職場の人間関係だとか、労働環境について、愚痴ってるらしい。
一方で、日常の延長にあるその不条理な状況を、
どこか平然と楽しんでる風でもある。

物語後半では、職場の同僚らしい男女が、
たわいもない話をしながら、ふとしたはずみで、
肉体関係を持ってしまった(らしい)場面がある。
官能的に、時に理性がマヒしたかのように、終始笑いながら、
二人が、本能のままに乱れていく描写が続く。
(ただし、セックス描写をそのまま描くのではなくて、
性とは関係ないセリフを延々喋りながら、
だんだんと欲望に溺れていく様子が見て取れる演出がなされている。
さすが、である。)


考えてみれば、現実の日常の中でも、
か〜〜〜なり不条理っぽい物事を、平然と受け流していることって、
よくあるよなあ・・・とも思えてくる。
端から見れば「事件」に思えることでも、当事者は、
日常的にそれを繰り返すことで、
「日常茶飯事」の一部にしてしまっているのだ。
そんなことを、ふと、しみじみと考えながら観ていた時、
ある女性が颯爽と現れ、
「でも、それって犯罪だよね?」
と言うかのごとく、
彼らが敢えて目をそらして来た「本質」を突きつけて去っていく。
それがまた、ひとときの快楽に酔っている者を、
背後からバッサリ切り捨てるようで、小気味いいし、怖い!
・・・しかもこのパターンは、その後数回続いた。
怖かった〜〜〜!


今回の舞台は、
「『日常茶飯事』って言うけど、
それってけっこう幅広いし、時に不条理だよ?」
という点に絞って、舞台化に挑んだ作品のように思う。
初演と同じセリフが数ヶ所聞かれた時は、
やはりというか、全く違うシチュエーションに感じた。
今思えば初演は、
「日常をまったりと過ごしつつ、
『たまには刺激を』と求めている物語」
だったのだと思う。
・・・今回とは、ほぼ真逆のベクトルだね。


同じキーワードから、真逆の物語が出来上がる不思議。
私も一緒にザックリと斬られる思いしながら、堪能させて頂きました!