振り込め詐欺との遭遇!(5)


時刻は、午前10:30を回っていた。
サイト側(=詐欺グループ)との対決が始まってから、早くも30分。
だが、こちらがあれこれと契約の矛盾を突いても、
相手は電子商取引法を盾に、のらりくらりとかわして来る。
埒があかない。


だんだん、理詰めで責めるのも、手詰まりになってきた。
いくらこちらが正論をまくし立てても、
相手はまた、同じような説明をしてくるだけだろう。
それをまた聴かされるのも、面倒くさいなあ。
・・・何度目かの電商法の説明を聞き流しながら、
何となく、やさぐれた気分になってきた。


なので。思わずつっけんどんに口走った。
「あのね!
私達夫婦は、二人とも病気で休職してて、収入がないから、
クレジット会社に借金でもしないと、払えないんですよ!
現に今だって、消費者金融をいくつも回って金策してるけど、
『うつで休職中だから』ってことを理由に、
どこからも断られてるんですよ!」
・・・それは、あながち嘘ではなかった。
友人はホントに金策で苦労していたのである。


「なのに!あなた方は、
『お金を払わなきゃ、借金も出来なくしてやる』という。
こちらは、借金しなきゃ払えないのに。
それじゃ、どうしたって払えませんよね!」
・・・つい、一休さんの『とんち問答』のようなことを言ってしまった。


だが。現実の重みが効いたのか、相手はややひるんだようだ。
「・・・再就職のメドは立ちませんか?
いつまで待てばお金が入るのかわかれば、少しは待てますが。」
意外に、現実的な解決法へと譲歩してきたのである。
・・・いける!と思った。
ここから、友人の体験談をもとに、
かなり切実にお金が払えない状況を主張して、一気に巻き返す!


私は、キレたように切り返した。
「そんなの、いつになるかわかりませんよ!
こっちはうつ病で、そのために、
次の勤め先がなかなか見つからないんだから!
断られることも多いし!」


・・・相手は、さらに怯んだらしい。
いささか、同情モードで話を合わせてきた。
「ああ。うつ病は大変ですよねえ。
南の島にでも行って、リフレッシュできれば・・・。」
さらにキレてツッコむ!
「そんなの、行けるわけないでしょう!!!
そんなお金、どこにあるって言うんですか!
今だって、両方の親から小遣いもらって、やっと生活してるんですよ!
さっきの『月15000円』だって、
そんななけなしのお金から、どうにか払おうっていう状況なんですよ!」


「・・・ああ。そうですよね・・・すいません・・・。」
相手は、自分の失言に「しまった!」と思ったようだった。
・・・よし!このままこちらのペースで攻める!


勝負はこれからだ。


(つづく)