アニメ「キャプテン翼 J」

地元民放局が(テレビ静岡/フジテレビ系)、
キャプテン翼 J」の再放送をやっていた。
「J」って付くからには、Jリーグ開幕以降のリメークだと思う。
服装や色が、最初のアニメ版よりもきれいだし、
表情のつけ方が、原作よりは、普通の少年マンガっぽかった。


正直言うと、私は最初のアニメ版も原作も、あんまりしっかり見た覚えがない。
けれど、当時、このマンガは流行ってたから、主な登場人物くらいは知ってたし、
その後「アニパロコミックス」(みのり書房)にはまって、
同誌で「健全な」(=ボーイズラブ抜き)パロディマンガを見ていたから、
主なエピソードは知ってるつもりだった。


しかし、今回初めてリメイク版の再放送で、何話か通して見て、
「ああ、『食堂の借り』っていうのは、こういう話か。」
って知ったというわけ。


●「キャプテン翼ごっこの思い出


見ているうちに、小学校当時、みんなでマネしたのを思い出したよ。
半袖シャツの袖を、更に肩までまくって、「日向小次郎!」とか。
意味なく、会話のリアクションに、「なにィ!!!」と叫ぶとか。
サッカーやってて、ゴール前にフリーでボールをもらうと、
いきなり「オーバーヘッドキック」しちゃうとか。


・・・流れの中で、自然に繰り出すのならともかく、
わざわざボール止めて自分で蹴り上げて、なんとか後ろ向きの姿勢から、
頭上でボレーシュート打つので、まず入らない。
けれど、「翼くんの必殺技」という印象があるので、
やれば、入るような気になっちゃうんだよね。


・・・98年のワールドカップフランス大会で、「日本対アルゼンチン戦」の試合終了間際、
負けてる日本の、城選手が、やっぱりゴール前でオーバーヘッドシュートを打っていた。
「負けてるんだから、もっとシンプルで正確なシュートを打てばイイのに!」
と、苛立ちもしたが、
「でも、『キャプテン翼』好きな世代だったんだな。
あれ打つと、起死回生になる気がするもんなあ。」
と、妙に共感してみたり。


●それぞれの動機


今回見たのは、小学生編の全国大会ベスト4のあたり。
ここまで勝ちあがったのは・・・


北海道代表・ふらの(松山光
東京代表・武蔵(三杉淳
玉代表・明和(日向小次郎
静岡代表・南葛(大空翼


そして、それぞれのチームのキャプテンには、どうしても優勝しなくてはならない動機があった。


松山くん 
→自分たちを育ててくれた、大好きな校長先生が、
重体となっている。
恩返しして、元気付けてあげたい。


三杉くん 
→心臓病で、もうサッカーが出来なくなる。
最後の思い出に、自分がライバル視している翼くんと、
最高の舞台で戦いたい。


日向くん 
→母子家庭で育ち、これまで、
バイトで家計を支えながらサッカーをしてきた。
名門の私立:東邦学園にサッカー特待生で入って、
家計を楽にしてあげたい。


翼くん
→この大会に優勝したら、
サッカーを教えてくれた日系ブラジル人:ロベルトに、
ブラジルへサッカー留学に連れてってもらう約束をした。
当時、日本にはプロのサッカーチームがなかったから、
これを足がかりに、ブラジルで、プロサッカー選手になりたい。


こうして見ると、松山くんはともかくとしても、けっこう自分のために戦ってるなあ。
自分の生活のためだったり、自己満足のためだったり。
翼くん、意外に日向くん以上に、野心もりもりだし。
もっとも、その強烈な個性が、このマンガの人気を支えたのだが。


●今にして思うと


リメイク版とはいえ、今ほどには、
サッカーが注目されてなかった時代の作品である。
今見ると、サッカーの描写には、けっこう違和感がある。
クローズアップされるのは、
FWのストライカー、ラストパスを出すトップ下の選手、
そして、キーパーである。
ここではまだ、ボランチとか、センターバックとか、サイドバックあたりは、
呼称さえ聴かれない。


アップや、正面からの絵が多いので、
全体を写した映像がほとんど出てこない。
ストライカーを中心に、
それに向かっていく相手チームを描いた構図が多いので、
「高笑いしながらボールを蹴って突進してくる日向を、
後ろから追っかけるディフェンダー
とか、
「スライディングタックルのアップと、
それをジャンプでかわすシーンのスローモーション」
「横にパスを出す絵で表現される、サイドチェンジ」
「焦る、相手チームキャプテンのアップ」
「キーパー横っ飛びーーー!取れなーーーい!」
などなど。


・・・見たのが「明和対ふらの戦」だったせいか、
日向くん一人に周りが振りまわされてる絵に見えちゃったんだよね。


ちなみに、最近のサッカー中継では、横から見た全体図を中心に、
時折、ボールを持った選手の周りでの攻防や、
活躍した直後の選手のアップの映像を挟み込んでいる。
ボールを持って向かってくる選手を、
相手ゴール方面から正面から捕らえ続けることは、まずない。

全体の流れを見せながら、戦術とか、スピード感を出しつつ、
その場その場の選手の気転とか、思いを、
ガンダム方式」で部分的にアップをはさむことで、
表現できるとも思うのですが。
・・・まあ、作品誕生から30年近く経って、
それだけ見る側も、サッカー中継を見なれるほど、
変わって来たって事ですな。


●気になったこと


ところで。


この試合のハーフタイムで、ふらのの監督は、
校長先生の死をミーティングで伝え、
チーム内に動揺が走った。
・・・普通、言わないと思うのだが。

さらに、明和の監督も、後半開始後に会場に現れた、
ゴールキーパーの若島津を、
PKの直前に途中出場させている。
・・・本人が会場にいなくても、
選手登録させてるって、アリなのか?
もうPKのキックの合図の笛鳴ってたし、
あの場では交代認められなかったと思うんだけど。


いや、それ以上に、みんな大人っぽいけど、小学生ですよ?