演劇串カツの陣!(7)「AOI」前篇



(前回のあらすじ)
6月18日、演出家:仲田恭子さん率いる
「空間アート協会ひかり」の大阪公演を見に行った。
彼女にとっては初の大阪進出!
それも何と、大阪のシンボル・通天閣そばの「フェスティバルゲート」にて、
大阪の中堅劇団「舞台処女」【マチカドオトメ】さんとの夢の競演!
その名も「演劇串カツの陣」である。


そもそも今回の企画のキッカケは、
演出家の断寝(だんね)さんが、2004年の利賀演出家コンクールで仲田さんと出会い、
それが縁で交流が始まったこと、なのだそうだ。
コンクールでの競演が、一回だけのいわば「勝負」で終わるのではなく、
こうした交流のきっかけになって、人脈が広がっていくのは、すごくいいなあ。
実際、「アート協会ひかり」のメンバーは、スタッフを含め、
固定メンバーによる劇団制をとらない代わりに、
そうした人脈の積み重ねによって、仲田さんの周りに集まってきた人達である。
作品を作るのも、それを支えていくのも、人脈に頼るところが大きい。
だからこそ、限られたわずかな時間の出会いも、大事にしているのだろう。
・・・人脈あっての大阪進出です。多謝!


演出家:断寝さんはじめ、舞台処女の皆様。
レビューお約束しながら、一月近くも遅くなっちゃって本当にすいません!

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舞台処女さんの公演を見るのは、今回が初めてである。
実は、関西劇団の舞台自体、見るのが初めてだった。
なのになぜか私は、大阪の人の舞台というと、見たことないにも関わらず、
「テンションが高い」「ファンキーというか、ちょっとパンクっぽい」
「けっこうギャグが多い」
というイメージがあった。
・・・これはきっと、高校の頃、雑誌「演劇ぶっく」で見た、
劇団新☆感線さんあたりの舞台写真のインパクトが強かったからだろうなぁ。
(もちろん、こちらも未見。)


なので。舞台転換を経て、淡々と本編が始まった時は、
自分の先入観があまりにも偏っていたことに気付き、赤面したものである。


原作は、「源氏物語」の「葵」の巻。
・・・高校の時の国語の資料集から、あらすじをかいつまんでご紹介。


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主人公:光源氏は12歳で成人し、4歳年上の葵さんと結婚した。
しかし、ツンとすました奥さんになじめず、
反面、亡き母に似た父の後妻:藤壺さまに、マザコンっぽい恋心を抱いていた。
17歳の夏、叔父の妻:六条さんと不倫。
さらに18歳の時、ついに藤壺さまとも不倫に走り、藤壺さまは彼の子を身篭ってしまう。
苦悩する二人!
・・・の割には、藤壺さまにそっくりな彼女の姪:若紫ちゃん(10歳)を引き取って、
理想の女に育てようとするし、
馴染めなかったはずの正妻:葵さんも妊娠させちゃうし、何だかちゃっかりさんである。


さて。光くん22際の頃。
六条さんの娘が伊勢神宮斎宮に選ばれ、そのお披露目パレードが都大路で行われた。
この時、斎宮の母として参列した六条さんの牛車に、見物に来た葵さんの車がぶつかり、
六条さんの車が大破!
元々葵さんに対し、光くんを巡り嫉妬していた六条さんとしては、
この晴れの席で恥をかかされたことを恨み、ついには生霊となって葵さんにとり憑いた。
その呪いにより葵さんは、息子夕霧くんを出産し、急死。
悲しみに暮れる光くん。
・・・のはずだったが、葵さんの喪が明けてすぐ、14歳になった紫ちゃんと再婚。
ロリコンなんだか、マザコンなんだか、ホントにちゃっかりさんである。


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今回の作品は、原作をアレンジした三島由紀夫能楽集をもとに、
第三エロチカの川村毅氏が更にアレンジを加え、戯曲化したもの。
物語を現代に置き換え、カリスマ美容師のいるサロンを舞台に、
美容師・光と、その恋人・葵、更には恩人の妻・六条との、
複雑な三角関係を軸に話が進む。


(つづく)