「本デアル」買いました!

夏目房之介さんの新刊「本デアル」(毎日新聞社刊・1785円)、今日買って来ましたよ!
…いやあ、久し振りに新刊が読めて嬉しい!


この作品は、夏目さんが雑誌などの連載を通して手掛けた書評をまとめたもの。


一口に「書評」と言っても、取り上げる作品は、
祖父・漱石に始まって、エッセイありマンガありビジネス書も近代史ものもあり…と、
実に多彩!
夏目さんの知的好奇心の広がりや、嗜好が伺えます。


初出紙も、新聞・雑誌の他、
ユーザー向けに配布される小冊子(もちろん非売品)もありまして、これまた多彩!
特に小冊子は、ファンといえども書店で買い求めることができないので、
再録はとっても有り難いです。
ソフトバンク携帯のカタログに連載されたものも今回入ってます。
ショップにて携帯の手続きの合間に読んでたのが、また読めて嬉しい!


さらに!
今回は装丁や本文デザインを、祖父江慎さんが担当されてまして、
彼のセンスというか遊び心が、本のあちこちに感じられて、
これまた楽しい!


表紙の題字が、漱石の「吾輩ハ猫デアル」を彷彿とさせる書体で、思わずニヤリとしてしまったり、
序文の、やけに大きくて、特に平仮名がレトロの印象の明朝体インパクト強くて、
「ああ、そういえば、復刻版で見た初版の『吾猫』も、こういう活字だったなあ。」
と、タイトルだけでなく序文の活字にも、オマージュを感じさせるデザインに唸ったり。


不思議なもので、大きなレトロな明朝体でページがギッシリ埋まっていると、
何だか、歴史的仮名遣いで難しいことが書いてあるように、つい錯覚してしまうのだけど、
実際に序文を読んでみると、
「元々自分は本読むのが遅いんだよう」
「読みたい本はいろいろあるのに、それ以上に、仕事上読まなきゃならない本がいっぱいあって、大変なんだよう」
…的な、ボヤキがつづられてて、字面とのギャップがおかくておかしくて。(笑)


余談ですが、うちにある復刻版『吾猫』の下巻の序文読んだら、
「連載してたら、どうも長くなってきて、最初は2巻にまとめるつもりが3巻で出すことになって、
でも連載終わってみたら3巻のページが余ったので、編集に、
『もうちょっと書き足してくれない?』
と言われた。
けど、猫、もうラストで死んじゃってるしねえ。
書かないって断った。(意訳)」
…くらいのフランクな内容。
これまた、ギャップに笑った。漱石さん、お茶目だなあ。


ギャップといえば、
本文は存在感バッチリのくっきりした明朝体だけど、
ページの左下にひっそりと章のタイトルが打たれていて、
そちらは、かわいらしい丸っこい字体で、このギャップも面白い。
ルビもその字体だし。


活字離れが進んでいると言われる昨今だけど、
活字の面白さを楽しめるデザインにしたんだなあ、と思ってみたり。


さて序文は、夏目さんのボヤキで終わるのですが、
ページをめくると、漱石の有名な写真と同じポーズで佇む、著者近影が!

先に写真だけは、エッグの黄味さんのブログで拝見していて、
「おお!孫による漱石のコスプレ!」
と喜んでたのですが、
序文のボヤキを読んでから改めて見ると、
本を読み疲れてグッタリしている風にも見えてしまいました!(笑)


本文、これから読みますので、感想はまた後ほど!