声楽コンサート。

2010年6月17日、横浜市神奈川区民文化センターかなっくホールにて、
マイミク:みゅしゃさんの参加されている声楽教室の発表会が行なわれました。


「声楽を習うのが夢だった」と、つねづね日記で語ってらっしゃったみゅしゃさん。
初めての発表会ということで、当日に向けて、日記からもワクワク感が伝わってきます。
読んでいるうちに、私も発表会が気になってきて。
「・・・思いきって、サプライズで見に行っちゃおうか?幸い、私も当日、休みだし。」
と、思いきって会場へお邪魔しました!


神奈川区民文化センターは、JR東神奈川駅のすぐ隣。
ちなみに、東神奈川駅も、新幹線・新横浜駅から二駅とアクセスが便利。
うっかり者の私も、迷わず辿りつけましたよ。


かなっくホールは、客席数200くらいの小さなホール。
ですが、天井が高く、木目調の内装もきれいで、座席もゆったりした感じ。
開演20分前に到着すると、客席には既に50人くらいいらっしゃって、
40代〜60代くらいの、いずれも上品な装いの紳士・淑女の皆さん!
・・・しまった。カジュアルな30代の私、完璧に浮いてる?


と、まあ、ちょっと慌てましたけども。
いそいそとビデオ撮影の仕度をして、パンフレットを見ながら、開演までゆったりと待ちます。
やがて、客席の照明が落ち、開演を知らせるアナウンスが。
「・・・いよいよだなあ。最初に、出演者あいさつとかあるのかな?」
と、ドキドキして待ってましたら、淡いピンクのドレスを着た女性が一人、
舞台袖から中央へ、まっすぐに歩いてきました。

「講師の先生とかが、代表してあいさつとかするのかな?」
と見守ってましたら、彼女は歌うスタンバイを始めた。
・・・あいさつじゃなかったんだ!もう始まっちゃうんだ!
やっと気付いて、あわててビデオを回しましたとも。


実はその女性が、みゅしゃさんでした。
最後にお目に掛かったのは、もう3年くらい前。夏目房之介さんの講演会「孫が語る漱石」でご一緒して以来。
ですが、この日、ステージ上のみゅしゃさんは、以前お会いした時以上に堂々とした風格が漂ってらっしゃいました。
・・・一瞬、見違えてしまいましたよ。


みゅしゃさんは、一番手で登場。
初めての発表会で、しかも最初に歌うのは、極度に緊張してらっしゃるのでは?と予想したのですが、
歌が始まりますと、表情も豊かに、情感たっぷりに歌ってらっしゃる。

・・・初めてとは思えないくらいの、堂々とした歌いっぷりでした。


曲はTosti「Sogno(夢)」。


歌詞の意味は分からないけれど、客席に語りかけるように歌うみゅしゃさんの表情を見ていると、何だかイメージが伝わってくるような感じ。
忘れられない恋をしたような、胸の奥深くに激しい想いを秘めた表情。
・・・声楽の楽しみ方って、ひょっとしたら、
歌い手は、「歌う」というよりもむしろ、歌詞に歌われている役になり切って、
その役柄で、『観客に語りかける』つもりで歌うのかもしれない。
だから観客は、歌い手の歌の上手さ以上に、
語りかけるように歌う『想い』を、感じ取って楽しむものなのかもしれない。
・・・そんなことを、素人ながら、あれこれ想像して考えながら聴いてました。


さて。出演者の皆さんは、大多数が女性なのですが、
一人だけ、ぽっちゃり体型の、ちょっとカルロス・ゴーンさんに似たおじさんが登場。
女性陣は全員ドレス姿なのに対し、おじさんはスーツ。
・・・それがかえって、チャーミングに見えたりして。
ところが。歌い始めると、
予想に反しておじさん、よく通るテノールで、朗々と歌うんですよ。
しかも!表情豊かに、手振りも交えて、全身で語るように!
・・・一気に引き込まれちゃいました!
その動きが、ホントに全身で語る感じなので、ビデオ回しながら、
「このヒト、上半身アップにするの、もったいないな・・・」
と思ったほど。
実は出演者の皆さんのほとんどは、表情だけで語る人で、中には手振りが付く人もいる・・・という感じ。
そこを強調するために、本人が歌に気持ちが乗ってくる様子を見計らって、
徐々に上半身のアップにしていくのですが、
おじさんだけは、全身で語るのがすごく絵になるので、
アップをやめて、そのまま全身を映しておこうかと思いました。
・・・でも、表情もしっかりとらえたくて、所々、アップ入れましたけど。


発表会は、二部構成になってまして、
一部は外国の歌、二部は日本語の歌を歌います。
出演者は同じなのですが、歌う順番が入れ替わっていました。
第二部では、みゅしゃさんは9番目に登場。


曲は、作詞:加藤周一/作曲:中田喜直「さくら横ちょう」。


この日のために、サクラをイメージしたドレスを新調されたというみゅしゃさん。
やさしく、儚げな曲調に、衣装の雰囲気がよくお似合いでした。
よく伸びる高音が印象的。
こちらは、日本語詞なので、歌詞の意味はわかりやすいのだけれど、
第一部のような、
「何とか、曲に込められた思いを伝えよう!」
という迫力は、かなり和らいで、
一方で、言葉の響きを丁寧に伝えようとして下さっている感じ。


歌の楽しみ方を、また一つ、教えて頂いた気がしました。