恒河沙in県立ぐんま天文台

去る2011年7月17日、
「板橋克己展・恒河沙in県立ぐんま天文台」を見に行ってきました!

_________________


メカデザイナー:板橋克己さんは、松本零士さんの愛弟子。
松本作品を飾る宇宙船・海賊船・銀河鉄道など、数々のメカデザインを担当。
私が大好きな「銀河鉄道999・劇場版」のメーターぎっしりの機関室とか、アルカディア号とか、
『これぞ松本メカ!』というのは、実はほとんど板橋さんが描かれているのだそうです。


その板橋さんが、オリジナルデザインの宇宙船イラストを多数展示する個展を開催されていまして、
そのタイトルが「恒河沙」。
元は【ごうがしゃ】と言って、10の18乗を表す数詞(数の単位)であり、
本来は仏教用語で「ガンジス川の砂」を指す言葉。
(そのくらい、数え切れないくらいたくさんあるという意味)
一方、板橋さんは「恒河沙」という表記から、恒星の集まり・銀河を連想され、
【こうがしゃ】と読んでいらっしゃいます。

__________________


これまで「恒河沙」は、ホームグラウンドの東京都北区・北とぴあでの大がかりな展示をはじめ、
群馬県上信電鉄の999号に絵を展示して、走る車内でギャラリートークをやったり、
群馬県富岡市美術館では、イラストを元に板橋さんご自身が手掛けた模型も併せて展示して、
はやぶさのカプセル(本物)やIHIの宇宙探査機模型との「夢の共演」を果たしたりと、
本物の宇宙につながっていきそうな、スケールの大きな展示になっていったのですが、
今回は天文台からオファーがあったそうです!すごい!


・・・私ね、天文台というのは、専門の研究者が星を見るための専用の施設だと思っていたから、
そこをギャラリーとして使わせてもらえるとは思いもよらなかったし、
しかも、板橋さんからお願いしたのではなく、公立の研究施設である天文台
がオファーをして下さるというのが、何より驚きまして!


宇宙船と、宇宙をのぞく天文台・・・まさにテーマはぴったりなんですが、
この企画が実現したことに、すごく興奮してました!
(後で伺いましたら、こちらの天文台のスタッフの皆さんは、
日頃から地元の団体の活動をこまめにチェックしてらっしゃって、
いろんな団体とコラボ企画をやっているのだそうです)

________________


当日は、朝から晴天!
朝9時頃地元駅を出て、普通列車を乗り継いで最寄り駅に着いたのは16:10頃。
(西焼津[東海道線]→小田原[湘南新宿ライン]→高崎[上越線]→沼田/5740円)
会場の天文台は、星を見やすいようにと、当然ながら人里離れた山奥の、しかも山頂にあります。
・・・遠いしバスも通ってないのでタクシーで。
沼田駅から30分くらい/4300円)
天文台関係者以外は、山頂から1キロ手前の駐車場までしか乗り入れできないとのこと。


そこから、強い日差しの中、くねくねした舗道を歩きます。
カーブと杉林に遮られ、先が見えないので、汗をぬぐいつつ、
天文台までの道が果てしなく感じられたり・・・。
・・・そして。ついに山頂!群馬の山々が眼下に見下ろせます!
突如目の前に芝生の野原が開けて、展望台のドームが姿を現したときは、
なぜか「・・・勝った・・・」と思いました。

________________


早速、建物へ!
ドキドキしながら入り口に向かうと、エメロードさんと息子さんにばったり再会!
エメロードさんは、娘さんの吹奏楽発表会の合間を縫っていらしたとのことで、お会い出来た時間は短かったのですが、
息子さんのリクエストでスタンプラリーに参加される傍ら、
歌手の長友じょうせいさんの呼び掛けで作られた、板橋先生がレーベルデザインを手掛ける「震災チャリティーアルバム」のPRをしてらっしゃいました。…さすがメカニスタの敏腕広報!
前回の「第2回・恒河沙in王子」のビデオをお渡し出来てホッとしました。


更に奥に進むと、天の川やアンドロメダ星雲の巨大な写真パネルが、
エントランスホールの2階まで吹き抜けの壁面いっぱいに引き延ばして展示されています!
その奥のベンチに、板橋先生発見!
静かに淡々と、しかし素早く、サイン色紙に次々とイラストを描き上げていっしゃいました!


傍らには、板橋ファンクラブ会長の風媒花さんと、
上信電鉄イベントでおなじみのデキを愛する最強の晴れ男Oさんと、上信999号のデザインをされたYさんが語らってらっしゃいました。


聞けば、急遽18:00からギャラリートークを開催することになったそうで、楽しみ楽しみ!
開催まで時間があるので、先に展示を拝見することに。

________________


1階のロビーから2階の資料展示コーナーまで、アンドロメダ星雲の写真パネルに向かい合うように、長いスロープがつづらおりにしつらえてあり、
展示はそのスロープの壁面に、ズラリと飾られていました!
…その数33枚。


作品は、地球上空にある宇宙空港を飛び立った宇宙船が、数々の宇宙船に遭遇しながら太陽系を巡り、最後は宇宙の果てを目指して時空を超えていく…という構成になっていて、
宇宙の果てに向かってスロープを上がりながら見ていく形になります。
ふと振り返ると、壁面いっぱいのアンドロメダ星雲写真!
展示の先には、天文台の資料展示スペースがあって、
大望遠鏡のレプリカや、美しい星雲・星座写真の数々を展示してあり、
さらにその上の階には天体望遠鏡があります。
まさに「夢の宇宙」から「本物の宇宙」へと繋がっていく感じ。


スロープに展示するため、通路の幅が1mくらいなので、
来場者の皆さんは、自然と、絵を至近距離で眺めながらスロープをゆっくり上がっていくことになります。
風媒花さんがリサーチしたところ、神奈川県から来たという30代くらいの男性2人組が、
立ち止まって、ちょっと不機嫌そうに、しかし熱心に、イラストに描かれたエネルギー噴出口あたりを指して語り合っていたとか。


連休の中日で晴天だったこともあり、夕方からは続々と小さいお子さんを連れたご家族が増え、
松本アニメを見て育った世代の男性はもちろん、その息子さんたちも興味持って見ていたのが印象的でした。


ある男の子は、どんどんスロープを上りながら、興奮したようにお母さんに振り返って、
「これすごいよ!アニメだよ、アニメ!」
とはしゃいでいました。
正確にはアニメ作品とは関係のない、板橋先生のオリジナルイラストなんだけど、
彼には、アニメになっている作品みたいに見えたのかも知れません。
もしかしたら、止め絵のイラストから、宇宙船が飛んでいくように動きを感じたのかも。
…男の子は今も昔も、宇宙船やメカが大好きなんだなあ。

________________


ギャラリートークまでの待機時間には、板橋先生御一行は控え室に。
私にも声を掛けて頂いたので、恐縮しつつ記録ビデオの撮影のため同行させて頂きました。


控え室は何と!事務所の奥にある天文台長室!
天文台のトップである博士のお部屋です。
天文台のトップは「台長」って言うんですね…。)


台長席には革張りの立派な椅子。応接用に立派なソファーがあって、さながら「校長室」という雰囲気。
棚に若田宇宙飛行士のサインが飾られていて、それをインドの神々の木彫り人形が囲んでいたのが印象強かったです。


Yさんからは、先生と風媒花さんに「だるま弁当」の差し入れ。さすが群馬名物!

________________


さて、休憩を終えて18:00からはギャラリートーク
集まったのは30〜40代の男性10人前後でしたが、
夕方からの天体観測に向けて、お子さん連れのご家族がドッと増えて来て、
ギャラリートークの間後ろをどんどん通過しながら、通りすがりに覗いていく人も多数。


風媒花さんによる板橋先生のご紹介に続いて、先生ご本人による作品解説が始まります。
淡々と絵のテーマや作品のポイントを説明しながら、
「気になったことがあったら、どんどん質問して下さい」
と、度々呼び掛ける板橋先生。
最初は、サクラのように私やOさんが質問する場面が多かったんですが、
他の参加者からも、次第に質問が増えていきました。
先にご紹介した神奈川県から来た2人組も参加されていて、先生に噴出口やエンジンについて、熱心に質問していました。

________________


ギャラリートークは一時間くらいで和やかに終了。
サイン会もやろうか?とのお話でしたが、時を同じくして天体観測会が始まり、先生御一行もそちらに参加。


19:00頃ではまだ空は明るく、星が見えないのでは?との声もあったのですが、
会場は既にかなりの行列で、待っているうちにだいぶ暗くなってきて、
星がキレイに観られました。


その後外に出てみました。
天文台前の芝生の広場は、涼しい風が通り過ぎて気持ち良く、
板橋先生から、
「涼しいぞナウ」
とのコメントが!
蛾やカナブンなどの虫も飛んでまして、風媒花さんからは、
「藪蚊ナウ」
とのコメント。


肉眼でも3つ4つ星が見られるようになって、御一行みんなで空を見上げて、
「あ!見つけた!」
と指さしたら、みんなそれぞれ違うところを指していて思わず笑ったり。


望遠鏡で見るのも楽しいですが、
「山の上で芝生に寝転んで、広く星空を眺めたら、それも楽しいだろうね…」
と風媒花さんもおっしゃっていました。


宇宙を身近に感じた、ステキなイベントでした!